バックグラウンド
久しぶりの「アーリーリタイア」関連の記事です。以前書いた給料がいい国で働き、リタイアは物価の安い国でする!というGeography arbitrageの話の続きでもあります。
アメリカで働いている日本人にとってリタイアはアメリカか日本どっちにする?絶対会話に出てくる話かと思います。もちろん我が家の会話にも出てきて老後の医療費のことを考えたら絶対日本がいい!そう夫婦で意見一致でした。
ところが・・・最近私がリタイア後日本で過ごすことで少しだけ気になっていることがあります。この記事では深堀していきたいと思います。
日本でリタイアするメリット
医療費安い
食事おいしい
物価安い
日本語通じる
です。物価がここ20年?ほぼ上がってないので今後も一気には上がらないかと思います。もし一気に上がれば日本国民が生活できなくなるので物価もあげれない。という負のサイクル。なのでアメリカのように物価はあげれないだろう。ということで今後も物価が比較的安いままな可能性が高い。
円安が続いていますが、日本円が他の外貨に比べて価値が低いという証拠なので日本円で稼いでいる人は大変です。でもリタイアしてドルを日本円にして生活できるい人にとってはうれしいことなのかもしれません(でも自国の勢いが弱まっているのは非常に悲しいことです)
その逆に円安状態が続けば輸入に頼っている日本の物価は上がらざるを得ない。でも上げると国民の生活が大変になる。国民みんなを救済するような資金力が国にはない。かと言って企業もみんなの給料上げるのは難しい。理由は商品の値段を上げにくい環境が日本には整っているから。まさに負のサイクルです。今後日本の物価はどうなるんでしょうか?
でも世界トップレベルの食事がおいしい国、日本は今後も食事おいしいでしょう。最近気になるのは医療費が安いことについて。
いい医療なのだろうか?
私の友達で日本で薬剤師をしている人がいます。彼が言うには日本は新薬の認可が諸国よりも時間がかかるからなかなか入ってこない。必ずしも
新薬=既存の薬よりも効果が高い
ではないですが、高い確率で新薬はメリットがあることが多い。だから企業はものすごい金額投資して薬の開発してます。その新薬が日本に入ってきにくいというのです。昔からそうなのでしょうが、これって世界に比べると遅れをとってないのか?と一般人ながら疑問に思ってしまいます。
知り合いで日本で口腔外科医してた歯医者さんがアメリカに来てたのですが、その人が言ってたのは歯科に関しては断然アメリカの方が技術力も知識も進んでいると。
歯の病気が原因で命を落とすことは少ないと思いますが、それにしても歯科の知識を持った人がアメリカと比べると日本の方が断然劣っていると聞くと、アメリカ高いのも徐々に納得してきたというか・・・
次に私の知り合いで日本の有名大学でMDとPh.Dを取得した臨床経験のある方から聞いた話です。日本人は手先器用で素晴らしい医師が多いけど、能力ある医師ほど海外に出ている。そしてアメリカ、ヨーロッパに比べると病院にある器具が最新の物でないことがある。
この方1人からしか直接聞いてないので、この意見を元に日本全ての病院の質を判断するのは間違ってると思いますが、少なくとも能力のある人達はより刺激で最新設備のあるアメリカやヨーロッパに出てきているというのは嘘ではないかと思います。
医師の給料を比べても日本で働くよりもアメリカの方が何倍ももらえるようですし(ただし、日本の医師免許持っていてもアメリカで医師として臨床はできないらしいです)
医療の世界はわかりませんが、私は化学の人間なので化学の分野でも優秀な人たちは海外に出てきています。日本の大学は教授の席が限られている。上が辞めないと若い人が教授になって活躍できない。
でもアメリカなら能力があり大学に資金さえあれば(学費高く設定してるのでほとんどの大きい大学は資金力ある)雇ってくれるし、教授にもなれます。実際日本人でアメリカの大学教授でノーベル賞受賞した人も多いです(2010年化学賞受賞者の根岸先生、2014年物理学賞受賞者の中村先生、2021年物理学賞受賞者の眞鍋先生などなど)
京都大学で准教授してた人がアメリカのAssistant professorで招待され研究しているのを身近で見ているので実際起こっている現象です。
何が言いたいかと言うと、能力ある人が日本から出て行っている。つまり日本にとって大切な財産が日本からいなくなる=技術&研究も遅れを取っている。(医学&科学分野だけではなく最近はソフトウェアエンジニアもアメリカに多く来てますね。彼らの給料を日本でもらうことは不可能なので日本に帰って日系企業で働こうと思う人はおそらくゼロ)
そして日本に残された医師、研究者にその分しわ寄せが来る。しわ寄せが来ると対処しなきゃいけない患者数も多くなるし、やらなきゃいけないことも多くなる。そうすると1つ1つが丁寧に対応できる心の余裕すらなくなる可能性もあります。また子供は減り老人が多い。現状のままだと医療レベルは海外諸国に比べると発展しにくい可能性があるのではないか?それなら医療費がアメリカに比べて安いのは納得。
逆に高くても最新の医療を受けられるアメリカの方がいいのか?なんて考えが頭の中にあります。とは言っても金額が半端ないのでやはりアメリカの医療は怖いです💦
自然災害最近多くない?
日本は地震大国。小さい頃から毎年必ず小さな地震があったので地震があること自体普通だと思ってますが、ここ数年日本で起きる地震の回数多くないですか?そして大きく揺れる震度4以上の地震も多くなってきてませんか?
地震だけじゃなく大雨による土砂崩れや自然災害がやたらと多い気がします。噴火もここ数年よくニュースでみかけます。温暖化などが原因の1つかもしれませんが、もしそうなら今後は悪化する可能性もありますよね。
幸い日本は戦争ないので、ウクライナのように隣の国が襲ってくる可能性は低いでしょう。でも地震は予期せぬ時に来て無差別なので怖いです。万が一自分が住んでる地域に大地震が来て全てなくなったら金銭的な問題だけじゃなく、精神的にもかなり追い詰められます。地震保険に入っていれば何かあっても全く気にすることない!というわけでもなさそうですし。
まとめ
私の親世代の60代なら今日本でリタイアしても10-20年のスパンなら大丈夫な気がしますが、日本が今後30-50年後どうなるのか?を考えると少し不安な点もあります。
不安に思うのは日本以外の国の状況(=アメリカ)を知っていて比較分析しているからです。比較するものがない海外在住経験のない日本在住者は恐らく私がこの記事に書いたことを何も考えてないかもしれませんし、それが今後どのような影響を日本に及ぼしていくのかすら興味ないかもしれません。それもそれで不安です。
結局、理想はアメリカでも日本でもリタイアできる準備をするのがいいのかもしれません。その時に選択肢があれば自分に合った決断ができるし、その時日本、アメリカがどうなっているのかによっても決めることができます。
こんにちは。医療の日米比較で言うと、アメリカのほうが高度医療という観点からは優れていると思います(経験からだけの意見ですが)。やはり新薬開発、最先端医療機器は欧米が先に来て、日本は認可が1年以上、さらにはもっと遅れてくるケースが多いですよね。それから最新の検査、治療方法など、日本では保険でカバーされないケースも結構あるようです。私はアメリカで大病をしたのですが、診断が下りるために必要な検査(私の場合最新の放射線検査を使いました)。同じ検査のマシンが日本では保険対象にならず、しかも日本に当時20台しかないというものでした。また、医師のクオリティについてもですが、アメリカは医師の専門分野が日本より細分化されているので、ピンポイントで医師を見つけることができれば、その分野に関してはExpertiseが高い医師に出会えるケースが高いです。
これらは私の経験ですが、医療費が高いのは例外なく、患者本人の保険がどれぐらいカバーするかによって自己負担金額が大きく変わってきます。当時の保険ですべて全額カバー(幸いCopayもなく、Out of pocketの負担もゼロでした)されたので、同じ病気をリタイア後になった場合どれぐらいメディケアでカバーされるかわかりません。
また、私はNY近郊に住んでいるので、NYの場合、全米でトップクラスの総合病院がいくつもあります。これも住む場所によって医師のクオリティにも差があると思います。
さちさん
経験に基づいたご意見ありがとうございます。実際アメリカと日本で病院で治療するという体験がないとなかなか判断できないことですよね。友達からアメリカの医療の方が優れているとは聞いていましたが、やはりそうなのですね。
住む国をどうするかだけではなく、住む地域によっても大きく変わってくるというのは考えてませんでしたが、確かに大都会でいい病院がある所は安心ですね。今の日本とアメリカでは差がある現状はどうしようもないですが、今後どうなってくるかが心配です。
いつも記事を楽しく読んでいます!リタイア先は悩ましいですよね。
医療に関しては、移植分野を除くと、日本でもアメリカでも同水準の治療が受けられるなと感じました。特にアメリカは保険や経済が医療現場での意思決定に関わってくるので、高額医療費制度や介護保険の充実している日本の方が、科学的にフェアな介入を受けられる場合が多いです。一方で移植に関してはドナーの母数が違うので、アメリカにいないと機会が回ってきません…。
私はホテルで日本の良さを再体験してしまい、老後は日本にしようと最近決意しました😅
ブルさん
日本とアメリカの医療に携わる人の意見頂けて嬉しいです。そしてホッとしました。
そうなんですねー移植は母数が違うことが理由なんですね。日本の移植受けれないからアメリカで移植するための募金とかしてる人いますしね。
サービスは日本の方がずば抜けてよく、お客として対応してもらうには最高の国ですね。逆に働く側としてはそれだけ求められているので厳しいという見方もできるかもしれません。
やはりアメリカで働いて日本でリタイアは👍ですね。頑張って働きます!🤣
陸さん
きちんとした保険に入れていてなおかつ都会に住んでいる(あるいは田舎でも大きめの病院が近くにある)場合なら、たしかにアメリカの方が治療法のバリエーションは広くなると思います。医師数が多い分、かなりニッチな分野にも専門医いたりしますし。
ただ、多くの場合(数字で表すのはなかなか難しいですが、9割とか9割5分?)、基本的な疾患に対する治療というところでは、日米で明らかな差というのはないと思ってます。
あとは、アメリカのいい所としては、医療従事者の数に余裕があるんで、診察とか患者さんとお話しすることにかなり時間をかけることが可能というのはありますね。アメリカでは患者さん側でしか見てないですが、子供の健診とかに行った時、すごくうらやましかったです。日本だと、もっと時間かけたいな、と思いながら患者さんを捌くことが多いので。
一方、中所得者~低所得者、年金生活者の医療については、日本がいいと思ってます。
60代~70代くらいが一番医療のニーズが高くなる時期だと思うんですが、所得が少なくなったり年金生活になったりした場合でも、受けれる医療の質が下がらないというのは日本のいいところだと思ってます。
逆に60代~70代くらいでも制限なく医療にアクセスできる、という仮定があればアメリカの方がいい、と言えるかも。
あとは少子高齢化で医療財政がどうなっていくのか、と言うのは日本の不安な点ではありますね。
頭脳流出については、見る場所によってかなり変わると思うので、結論のようなことは言えないですが、多少頭脳流出が起きたとしても、医療の質(特に一般的な疾患への医療の質)への影響はそこまで大きくないと思ってます。
もちろん研究面では影響大きいと思いますが(そのうちノーベル賞も出なくなるんじゃないかと思ってます)、実際に患者さんが受ける医療についてはそんなに影響ないんじゃないかと思います。
僕としては、むしろ医療財政とかの方が心配です。
べいぽすさん
コメントありがとうございます。私のブログ読者さん結構お医者さん多く、べいぽすさんやブルさんのように意見をシェアしてもらえるのでありがたいです。
アメリカは人口が多いからその分医師の数も多いんですね。日本では病院に行く機会がほぼなかったので、1回の診察にどれぐらい時間かけてくれるのかとかよくわかりませんが、確かにアメリカは医師と直接話せる時間も多い気がします。
リタイア後は収入がなくなるので、やはり医療費が安くてもいい医療を受けれる日本って魅力的ですね。いい医療だから日本人長生きしやすいってとこにつながってきてるんですかね?
年金生活であまり医療費気にせず病院行けるのは幸せなことですね。私の親も年金生活しはじめようとしてますが、ちょっと具合悪くなっても病院すぐいけるからある程度私の安心にもつながります。これがアメリカみたいに病院行ったら保険後毎回何万とかってなるとそもそも年金で生活できないですしね。